私には到底できない…と思うことがある。それは、車で生活することだ。車・バイクとくると、どちらかといえば車に乗るほうが好きだが、日常的な寝泊まりとなると話は別だ。でも、それをやめられない人間もいるのだ。山本文緒氏の短編小説で、タイトルもずばり「車」という作品がそれだ。主人公は女性であるが、ローンで購入したBMWコンパクトを乗り回し、ある日、父親と衝突して家出をしてしまう。しばらくは彼氏の家に居候していたが、そこにも長くは住めずに(つまり別れた)自分で家を借りる資金として愛車を売るぐらいならと、BMWに住む生活を初めてしまうのだ。その考えにもびっくりするが、なにがすごいって、会社にはしっかりと勤めながらその生活を続けていくところがすごい。お風呂は、会員となっているスポーツクラブで出社前にゆっくり入る。初めて読んだ当時は、いったい、BMWコンパクトという車はおとな一人が寝たりする充分なスペースがあるのだろうかと首をかしげたものです。